100日の意味
◆“100日”の意味を伝えたい
10年と100日コンサート実行委員会・委員長の牧野です。
私から、このコンサートがなぜ“100日”という言葉を掲げているのか、ということについてお伝えしたいと思います。
今回のコンサートは岩手県沿岸地域にある『釜石市』在住のフルート奏者・山﨑眞行先生を囲む会として発足させました。
私は音大受験を目指した中学生の頃から山﨑先生の下でフルートを学び始めました。
この師弟関係がこのコンサートへのきっかけとなります。
それでは“100日”の意味、お付き合いください。
◆はじまりの日・2011年
10年前に発生した東日本大震災で釜石市も甚大な被害を受けました。
生活が一変した地元の音楽家たちは、この日からしばらくの間演奏活動を再開することができませんでした。
そんな中、被災した1人の音楽家を囲んで3.11から100日目となる6月某日、小さなコンサートが開催されました。
◆3.11から100日目
釜石市在住のフルーティスト山﨑 眞行氏は、津波によって生活の場はもとより楽器・楽譜・衣装など、演奏活動に必要なすべてを失いました。
当日コンサートで使用したのは、全国からの支援によって届けられた中古のフルートでした。
衣食住もままならない時期に開催したコンサートは戸惑いに満ち、会場は拍手をすることすらためらわれるほどの重苦しい雰囲気に支配されていました。
「こんな時期に音楽を聴いていて良いのだろうか」
「被災地の人たち生活を差し置いて演奏することは不謹慎ではないのか」
誰もがためらい、居心地の悪さを感じる中、山﨑先生からが語られた言葉が会場の戸惑いを吹き飛ばしました。
そして、それは後の10年間胸に残ることとなります。
◆先生の言葉
『3.11から100日目にして ようやくステージの板の上に乗れました。』
自身も避難所で生活をしながら慰問演奏を続けていた先生が、震災発生日から経過する日にちを指折り数えていたこと、そして音楽家にとってホールの響きや板張りのステージの床といった空間がいかに大切かということ、なにより「音楽家・山﨑眞行」がその空間を取り戻した日が、偶然にも『3.11から100日目』であったことに何かの意味を感じずにはおれません。
この言葉をきっかけに、被災地が日常を取り戻した時、またこのコンサートを開催しようと心に決めたのでした。
それは、1年、5年といった短い期間ではなく、せめて10年ー。
それほどまでに当時の被災地の状況は凄まじいものでした。
10年後は関わる人みんなが清々しい思いで、共に10年という時を過ごしてきたことを喜び合える日にしよう、と「10年と100日目」を目指し始めたのです。
◆そして、2021年・約束の10年目
今年、ついに10年前の決意を実現させる年を迎えました。
再びの100日コンサートは、この10年間の活動によって多くの仲間を集め、出演者50名を目指す規模へと大きく発展しています。
世代や地域を超えた人たちが「フルート」「音楽」によって結ばれ、次の10年へ向かって共に時間を過ごすー。
未来へ向かうコンサートとして、たくさんの人が手をつなぐ会になりますように、との願いを込めて。
「フルートがつなぐ約束 〜10年と100日コンサート〜 」を開催いたします。
◆特別編
このコンサートについて、山﨑先生がSNSで触れてくださっていました。
その時のお言葉を転載いたします。
我々がどんな言葉を尽くしても、先生のお言葉の重みには到底届きません。
◆山﨑眞行先生のFacebookより転載
10年前に全てを失って避難所生活をしていた時に、ボランティア活動で避難所巡りをしていた私の弟子の牧野詩織さんとたまたま再会し、心優しい詩織さんは私のファミリーと一緒のコンサートを企画してくれました。避難所生活96日を終え、100日目のコンサートでした。
見知らぬ方から頂いた絆創膏で修理してあるフルートで、家族と詩織さんで宮守と花巻で演奏会をさせて貰いました。
私はすっかり忘れていましたが、この100日を詩織さんが記憶していたらしく、10年と100日コンサートと言う名のコンサートを企画したようです。今回は何と、有名なフルーテイストがたくさん参加するそうです。そのほか、フルートが好きな方々も募集中だそうで、とてもありがたく、同時に身が引き締まる思いでもあります。
皆様、どうぞ宜しくお願いいたします。
演奏での“参加”はもちろんのこと、聴きにお運びくださる、配信をご覧いただくことので“参加”。
応援・支援といった形での“参加”。
多くの人の手を介し、想いをつなぐコンサートにしたい!
これは関わってくださる人、全ての力を集めて作り上げるコンサートです。
是非お一人でも多くの方に、様々な形で“参加”して頂きたいと思っております!
どうぞよろしくお願いいたします